男性不妊症の問診内容とはどんなこと?

男性が不妊症の検査をする場合、精液検査のほかには医師の問診があります。過去の病歴や現在の症状などを把握して、原因をつきとめるのです。患者さんの話でその原因がすぐにわかることも珍しくはありません。また、男性側の情報をきちんを把握することによって、女性側に不要な検査や痛みのある治療などをしなくてもよいかもしれないので、金銭的負担も軽くなります。

問診票は病院によって多少違いますが、質問内容が非常にプライベートな内容になるため、口頭ではなくアンケート形式などにしている病院も多いです。また、問診票は病院のHPからダウンロードができるようになっている病院もありますので、家で問診票を記入したうえで受診すると効率がいいでしょう。質問内容については嘘をつくことなく、正直に答えるようにしてください。

この問診においてもっとも重要なのは、既往歴です。今までどのような病気になり、どういう手術を行ったのかということですね。これが原因をつきとめるキーとなることが多いのです。

男性不妊症の疑いがある男性が過去に患った病気の中で多いのは、「停留精巣」です。これは、精巣が陰嚢の中に降りてこないという症状で、子供の頃に経験していることが多いでしょう。この場合は精子をつくる機能障害の原因となり得ます。

大体の男性は子供の頃の検診で見つかることが多いのですが、大人になるまで見つからず、停留精巣の状態で不妊検査を受けられる方もいます。精巣が陰嚢の中にあるのは、体温より低く保つためです。精子にとっての最適温度は体温よりもやや低い温度のため、精巣が体内にあると、体温の影響を受けて精子をつくる機能がうまく働きません。成人で両側に停留精巣がある場合、全員が無精子症と判断されました。

また「長期にわたっての発熱」があった場合も精子をつくる機能が低下している可能性があります。これも熱による影響ですね。

その他にも、どこかにぶつけて精巣が腫れたことがあるとか、精巣がねじれてしまう精巣捻転症なども原因となります。もし片側だけの負傷などでも、自己免疫性造精機能障害というものにより、造精機能の低下につながることもあります。

そして一般的によく知られる不妊の原因にはおたふくかぜ(耳下腺炎性精巣炎)があります。思春期以降におたふくかぜにかかった方は、注意が必要です。また、普通におたふくかぜにかかり、精巣炎を発症していなければ問題ないことが多いです。

あとは、「前立腺炎」や「性感染症」にかかったことのある方は、精液中に白血球が増える膿精液症になりやすくなります。精子をつくる方に問題はなくとも、受精しにくい症状ですので早めに治療を受けましょう。

また意外なところでは気管支炎などの呼吸器疾患についても尋ねられることがあります。これは、精子無力症と合併することがあるためです。そして「糖尿病」の方は膀胱側に射精してしまう逆行性射精や勃起不全と関連が出てきます。

「がん」治療により放射性治療や抗がん化学療法などを行っている場合は、精子をつくる機能は失われます。また治療が終わっても回復しないこともあります。小児がんや精巣がんを克服したあとに子供を持ちたいという希望があるのなら、あきらめないで受診をして医師と相談することが必要です。

手術の既往歴についてですが、子供の頃の手術が不妊の原因になることがあります。

多い例では鼠径ヘルニア(脱腸)の手術です。子供の精管はとても細く、鼠径ヘルニアの手術の際に損傷することがあるのです。10人にひとりは精子の通り道が閉塞しているという報告もあります。また、大人になってからの手術でも、術後の異物反応でこの通り道が塞がってしまうこともあるようです。

また精巣の外傷による手術、精巣捻転の手術、膀胱や尿道の手術、脳の手術、リンパ節郭清手術なども関係していることがありますので、関係ないだろうと自分で判断せず、このようなことは全て伝えるようにしましょう。

問診内容についてはその他にも、性生活についてや勃起、射精についてどうかという質問もあります。自然妊娠についての知識や最適なサイクルなどが把握できておらず妊娠しない例もありますが、最近ではセックスレスに悩むカップルも多いようです。特に都市部においてはこの傾向が顕著に表れていて、「月に何回性交渉がありますか?」という質問について、地方では平均4~6回のところ、大阪では1~2回ということでした。ある程度の数はしておかないと、やはり子供はできにくくなります。

勃起不全の場合、不妊の原因はわかりやすいのですが、勃起はするけど性交渉ができないという患者さんもいます。いわゆる「中折れ」状態ですね。この場合は内服薬がありますし、改善することが多いので医師に相談しましょう。

さらに、マスターベーションの際に強い刺激を与えることに慣れてしまい、膣内では射精できないという悩みを抱える男性も増えています。男性不妊外来に訪れる約2割の方はこの悩みを持っているようです。この症状の場合は、内服薬はあまり効き目がないため、人工授精などに頼ることになるかもしれませんね。

 

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