男性不妊治療の歴史について

「不妊症は女性だけのものである」という古い思い込みをしている方は、まだ世界中にいるようです。ここでは、不妊の治療法と、男性不妊治療の歴史についてお話ししましょう。

昔から、不妊においては、女性側だけ治療を行うというのが一般的でした。もし男性不妊であるという事実がわかっていたとしても治療法がなかったことも事実です。世界初の体外受精が成功したのは1978年のこと。イギリスで女児が誕生しました。日本では1983年に初めて成功していますので、まだまだ歴史の浅い技術といえるでしょう。

女性には産婦人科学があるように、男性にも男性学というものがあり、精巣の機能などの基本的な研究はされていました。しかし臨床現場で治療に応用されてきたのは最近のことなのです。この分野で治療が盛んになってきたのは、ここ15年ほどのこと。欧米では他国に比べて治療は進んでいますが、それでも専門医はまだまだ少ない状況です。もちろん、それは日本も同じといえるでしょう。

体外受精を行うことができるようになり、受精卵を見る機会も増えました。そのことでグレード評価が可能になり、受精卵の状況から、男性側の精子の要因、女性側の卵の要因についてより精査するようになりました。従来は精子の量や、運動率のみを中心に考えていたのですが、最近では精子の質を向上することも大事だという考え方が広まってきています。

不妊治療において、女性を診る婦人科医と、男性を診る泌尿器科医の連携をうまくとることは非常に重要です。男性の精子の量や質を上げたところで、女性に両側卵管の閉塞などがみられた場合は、その治療は意味のないこととなってしまいます。

男性の不妊症に対する治療では、高度乏精子症や無精子症の方でも、補助生殖医療、特に顕微授精を行うことによって妊娠が可能となりました。しかし、流産の危険性や、双子や三つ子の妊娠で出産が困難になること、卵巣が腫れてしまう卵胞過剰刺激症候群など、女性側には肉体的負担になる場合も多く、さらに費用もそれなりにかかってきます。そして、治療途中において夫婦やその家族の精神状態が不安定になったりと弊害が多いのも事実です。

不妊治療は、その夫婦によって治療法も異なってきます。そのため、両人がお互いの体のことや、治療状況を正しく理解し、いたわる気持ちが大切になってくるのです。

 

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