精子形成にかかわる遺伝子研究

精子形成の遺伝子については、まだまだわかっていないことがたくさんあります。精子形成にかかわる遺伝子の数は2300ほどあるといわれており、今の時点では500ほどの遺伝子が判明しています。どの遺伝子の変異が無精子症を招くのか研究を続けていますが、その作業は時間も労力もそうとうかかるものであり、また費用も莫大なため、なかなか進まないのです。

しかし、そういった状況でも、AZF遺伝子領域における微小欠失の有無については、良い発見といえるでしょう。AZFのa領域、b領域に欠失がみられた場合、精子を採取できる可能性はありません。micro TESEが盛んに行われているアメリカの大学では、このAZFa、b領域に欠失があると認められる患者に対しても、手術を試みているようですが、精子が採取できたという話は聞きません。しかし、c領域の微小欠失でも、精子の回収率は70%を超えるのです。

そのため、非閉塞性無精子症の患者に対しては、micro TESEを行う前にAZF遺伝子領域の微小欠失があるかどうかを調べることはとても重要です。この欠失について調べずにmicro TESSを行うことは、患者の体に負担を与えるだけという結果になるためです。しかし、日本に施設ではまだまだこの検査を行っていないところも多いのが現状です。

また、以前にもご説明しましたが、DAZという遺伝子情報はAZFc領域の一つでしかないため、DAZ領域の検査を単独で行ってもあまり意味がありません。とある婦人科でDAZ検査を行った患者に対して、DAZ(-)だから子供はできない、と誤った説明をした事例がありますが、DAZ(-)の場合は精子が採取できる可能性が高まる場合だってあるのです。

たくさんの症例を経験すると、さまざまなことがわかってきます。染色体異常のある方や、その中でも特にクラインフェルター症候群の方については、昔はほぼ100%不妊であると診断されていましたが、いざmicro TESEを行ってみると、非閉塞性無精子症(染色体異常なし)の方に比べてその精子回収率は55%と高いという結果になっているのです。このことから、クラインフェルター症候群の患者の精子回収率は高いといえるでしょう。

 

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