精子細胞からの受精は可能か

精子のいない患者の場合、精子細胞で顕微授精を行うことは可能なのでしょうか。精子というものは、精祖細胞から精母細胞となり、精子細胞、精子へと、74日間ほどかけて細胞分裂を繰り返します。理論的に見れば、精子細胞以降は顕微授精を行うことは可能となります。

しかし、実際に精子細胞を用いて顕微授精を行うことがほとんどありません。ヒトの場合、たくさんの症例を見てみても、精子が見つからない方は、精子細胞も見つからないからです。

精子がいなくても精子細胞なら、と希望を捨てずにいる方も多いかもしれませんが、精子細胞が用いられる場合は、ほんのごく少数でしかありません。

まれな症例として、精子の成熟停止が起こっていることもあります。これは、精子がつくられる工程が途中で止まってしまうというものです。そのほとんどは精母細胞で停止し、精子細胞までにはなりません。

本当に少数ですが、非閉塞性無精子症の方の100人に1人ぐらいは、円形精子細胞という、精子細胞の前期のところで止まっている方もいます。受精や妊娠の確率が高いのは後期精子細胞で止まっているという方はほぼいません。精母細胞から精子細胞になるにはハードルが高く、精子細胞になるとその後は精子になる確率が高いといえるでしょう。

非閉塞性無精子症の精巣精子は、一般の射出精子よりも質の良くない場合が多く、精子の採取には成功したが、なかなか受精にまで至らないということがよくあります。micro TESEで精子のたくさんいそうな精細管が見つかったとしても、運動精子がいなかったりするとやはり受精率は下がります。精細管の中に非運動精子や奇形精子しかみられない場合は、後期精子細胞での顕微授精となるかもしれません。

今のところ、精子細胞の治療はあまり行われていないのが実情です。これは、精子細胞を用いて治療することがあまりないからでしょう。まずは、精子を探し、その結果、よい精子が見つからなかった場合にはじめてその治療を検討する、ということになります。

 

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