放射線による精子形成への影響

放射線は、精子形成へどのような影響を与えるのでしょうか。放射線は、細胞分裂の際に強い影響を及ぼします。精原幹細胞は精巣内の精細管のにおいて細胞分裂を重ね、精母細胞となります。

そして精母細胞は減数分裂を経て精子細胞になり、精子と分化していきます。放射線の影響で、この細胞分裂が低下してしまう可能性があるのです。分裂期の細胞は放射線に、高い感受性を示し、その被ばく線量に依存して精子形成が一時的、もしくは永久にストップしてしまいます。(放射線治療がなぜがん細胞をなくすのに有効なのかというのは、こういう理屈からなのです。)

成熟した精子は放射線に対して耐性があります。しかし、精子が形成される過程では影響を受けてしまうことになります。ちなみに、放射線を急に照射すると、4グレイ程度の照射で細胞分裂が恒久的に停止してしまうということが、研究結果により明らかとなっています。

回復が可能である、一時的な細胞分裂の停止についてはさまざまな説がありますが、0.1グレイほどで起こり始める可能性があるというデータも確認されています。0.1グレイは0.1シーベルト(100ミリシーベルト)ですから、1.0ミリシーベルト以下の被ばくであれば、まず問題ないと考えることもできるでしょう。

しかし、線量がごくわずかだったとしても、実際に被ばくをしてしまった場合、精子形成には影響がなかったとしても、精子内の染色体異常や遺伝子の突然変異およびDNAの損傷などが誘発される可能性はゼロではありません。実際に、医療従事者や研究者が日常の仕事において、透視下の検査などで被ばくの恐れがある場合、生殖器の保護のために遮蔽(プロテクター)は必ずすることになっています。

 

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