配偶者以外との人工授精について

男性から精子を採取することができなければ、男性側の不妊治療は終了せざるを得ません。この場合の夫婦の選択として、子供を持たずに夫婦だけで生きていくか、養子を育てるか、非配偶者間の人工授精(AID)という道があります。

現在、非配偶者間の人工授精で、年間200名弱ほどの子供が誕生しています(日本産婦人科学会の報告による)。商業目的での精子売買を規制するために、日本産婦人科学会は「非配偶者間人工授精と精子提供」についての見解を出しています。非配偶者間の人工授精を実施するための夫婦の条件や、夫婦や生まれた子供のプライバシーへの配慮、また精子提供者の条件や、精子提供者のプライバシーの保護や記録保存、施設登録の厳守、営利目的で精子を提供、斡旋、関与の禁止について書かれています。そして日本では20ほどの医療施設がこれに登録しており、それぞれの施設でガイドラインを独自に設定していますが、法的な規制はありません。

非配偶者間の人工授精では、凍結精子を用いることが一般的であり、妊娠の確率はかなり低くなります。その確率は1回あたり3%ほどとなっているようです。そして、AIDにより子供を持つことができた夫婦、もしくは子供がどのような問題を抱えることになるかのデータは不足しているため把握することは困難です。生まれた子供が自分たちの遺伝子を受け継いでいない、という事実は、大きな喪失感を伴うため、AIDをするかどうかをすぐに決められる夫婦はまれでしょう。AIDを決断した夫婦は、よく相談をし、自分たちの望む人生をしっかりと考えた上でそのような選択をしています。そして、生まれた子供が15歳になり、本人が希望すれば、遺伝上の親の氏名や住所などを知ることができます。しかし、子供に事実をいつ伝えるのか、もしくはずっと伝えないのかなども、各夫婦により異なります。

micro TESEを受けて精子回収ができなかった半数以上の方が、AIDに進むための紹介状を希望しています。その後、本当にAIDを行ったのか、子どもを産むことができたのか、ということは男性不妊症治療にあたる医師は把握できません。男性の場合、不妊の原因が男性になく女性側にあり、女性の卵がとれなかった場合に、それでも配偶者以外の卵を用いて子供をつくりたい、という希望はあまり強くないように思います。しかし、女性の場合、不妊の原因が女性になく男性側にあり、精子の採取ができなかった場合は、非配偶者の精子を用いて子供をつくりたい、という希望が非常に多いようです。やはり、女性のほうが「自分の子供を産みたい」という希望が強いということなのかもしれません。

 

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