男性不妊専門医の不足について

男性不妊専門医は、生殖器、その中でも精巣が専門臓器となります。しかし、日本にはこのような専門医師が不足しているのが現状です。

日本では、医学生は全ての診療科のことを学びます。そして、医師国家試験に受かると、自分の専門科をどこにするのか選ぶことになるわけです。

その中でも、泌尿器科を選ぶ医師はとても少ないそうです。泌尿器科は、腎臓・膀胱・前立腺などの後腹膜臓器に対する外科となるのですが、一昔前のイメージだと性病科と思われてしまうため、あまり人気がないのです。内科や外科を選ぶ人が多い中、泌尿器科はマイナーな科ということになるでしょうか。授業では生殖医療について興味を持つ学生もいるようなので、もっと啓発活動をすることで若い世代でこの分野の医師を目指す人が増えるのではないかと考えます。

泌尿器科の中でもさらに専門は分かれます。腫瘍、前立腺肥大症、尿路感染症、神経因性膀胱、腎移植、女性泌尿器、男性不妊というように、細かく分類されているのです。この順番でも男性不妊は最後の方に来ていますよね。それほど一般的ではない、ということなのです。

欧米においても、泌尿器科についてはマイナーな科となっており、特に日本では、国立大学の泌尿器科でも男性不妊診療を行っていないところもあるほどです。しかし、その少数の専門医は横のつながりが強固になるため、専門医のレベル自体は欧米にひけを取らないほどになっています。しかし、若い医師がこの分野にチャレンジしようとしないため、医師の高齢化が問題になってくると想像できます。たとえばmicro TESEは顕微鏡下で精巣精子を採取しますが、この手術を得意とする医師は日本全国でも20人ほどしかおらず、この術式が日本で行われるようになって10年を過ぎましたが、技術を受け継ぐ若い医師がいないため、この術式自体がなかなか一般的に行われていません。

そして、精路再建術は高い技術を必要として、その技術を会得するためにはトレーニングが必要です。難易度が高いせいか、治療後に自然妊娠ができると考えられるケースにおいても、医師のほうから「精巣から精子を採取して、顕微授精してはどうか」という誘導を行うこともあるといいます。また、最近では精液検査で精子の有無を判断するだけではなく、その質も検査することが重要視されていますが、このことについてもまだ行っていない医師もいるというのは問題です。

今でもなお、不妊治療は婦人科の分野として、男性側の原因を無視し、婦人科領域のみで治療を行おうという風潮があります。体外受精や顕微授精を行うことによって、もちろんしないよりはするほうが妊娠の確率が上がるでしょう。しかし、男性側を治療することで、女性からムダな採卵を行わなくてもよくなるかもしれないのです。女性の負担を考えたときに、男性も同じく不妊治療をスタートするべきだと考えます。

男性不妊専門医は、需要に対して供給が追いついていないのが現状です。現在、診療にあたっている医師たちは、これからはもっと若い世代の医師を育成することに力を入れて行かなければならないでしょう。

 

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