施設により生殖医療のレベルは異なる

日本は、欧米などと比べて一般医療の地域格差は少ないほうだと思います。しかし、生殖医療の分野となると、やや遅れがみられることもあるようです。それは、地域格差というよりも、施設によっての差というべきでしょうか。どの分野でもそうですが、施設ごとで経験数が異なるため、このような差が生まれるのでしょう。

経験を重ねるとレベルが高くなり、レベルが高くなると症例数も増えます。そうすることでまた知識も経験も増え、さらにレベルが上がっていくのです。こうなるととても良い循環になるのですね。

逆に、経験が積めないと、知識も技術も向上しにくくなります。医師にとってたくさんの患者と接し、たくさんの症例を経験することは大切なことなのです。もちろん、医師個人の努力で知識や技術を身に着けている人もいるでしょう。しかし、症例数が多い病院に患者も集まる傾向があります。たとえ遠方であっても、わざわざ訪れる人もいるぐらいです。このようなことがずっと続くと、やはり技術の格差は広がっていくでしょう。

国内で不妊治療が盛んに行われている地域は、東京や大阪といった都会です。それは海外でも同じことで、ニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコ、シドニー、メルボルンなど大都市に施設が集中しています。都会は20~45歳ぐらいの人も多く、この層は不妊症患者の年齢とも重なるため、このように都市部で栄えてきたのでしょう。

もちろん、地方の医師でもきちんと勉強している人はいます。それはとても良い傾向です。なぜなら、地方からわざわざ都市部の施設に通うのは大変です。やはり家の近くに安心して通える施設があるのが望ましいでしょう。

いくら不妊治療専門の医師であっても、スタッフであっても、人間ですから間違いは起こります。2009年に香川県立中央病院で受精卵の取り違いミスが発覚しました。このことで不安を覚えた方もいるのではないでしょうか。このケースは、医師が一人で行って、胚移植が1日に2例以上あったそうです。症例数が少なかったり、スタッフの熟練度が低かったりすることで、安全管理が行き届かなくなり、このような事故につながることになります。2005年の国内の体外受精実施施設の6割において、年間採卵数が100例未満と少ないことがわかっています。このようなミスが他の施設でも起こり得るというのが現状なのです。

しかし、安全管理マニュアルの見直しや、ダブルチェックの徹底などを行うことで、事故の可能性をゼロにすることはできると考えます。

 

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