不妊治療の可能性と限界

完全に精子のいない無精子症の場合と、ごくわずかでも射出した精液の中に精子が現れる場合とでは、その治療の事情はだいぶ異なってきます。

micro TESEで精子を回収する人の中には、精巣内には驚くほどの精子がつくられている場合もあります。現段階では難しくとも、あと数回の精液検査で精子がみられるようになったのでは、と思うときもあるほど。無精子症の方でも、精子回収ができるということは精巣内できちんと精子がつくられているということです。このつくられた精子が、射出精液中に出現すれば、精巣も切らずにすみます。そのため、一度の精液検査の結果だけで判断するのではなく、検査を繰り返し行うことが望ましいでしょう。

また、クリニックによっても精子回収率に差が出ているようです。傾向としては熟練したクリニックにかかった人の方が、精子回収率は低くなっています。しかし、この理由は技術的に劣っているからということではなく、精液検査の回数によるものではないかと考えます。熟練したクリニックでは、精液検査は一度ではなく、数回行って確認をします。数回の検査でも射出精液中に精子がみられないわけですから、精巣でも精子がつくられていない可能性が高くなります。すると、micro TESEをしても精子回収率は低くなるわけです。一方、一度の精液検査で無精子症と診断された人の場合、実はそのときの検査では精子が見られなかっただけで、あと数回検査をすれば精子が見られる状態であることもあります。そうすると、精巣内では精子がつくられているため、精子回収率は上がるということなるわけです。

無精子症の方の中には、実にさまざまな治療法を試される人もいます。漢方やはり治療、動植物のエキスなどを摂取して改善を期待することもあるようですが、未だ「これが効く!」というようなものは見つかっていないようです。

効率よく治療を行うためには、患者さんの状態の見極めが肝心でしょう。非閉塞性無精子症の場合でも、精巣内に精子が1匹でもいるのか、それともいないのかを、術前に選別できれば、無用な手術を行わなくても良くなります。血液からDNAを解析し、どのようなタイプだと精子回収ができる、などということが判断できれば、その患者に合った治療方法が早めにわかるのではないでしょうか。

 

カテゴリー

最近の投稿